Crystalloid (ELECTROCUTICA)

 ELECTROCUTICAとは、ボカロ界の中でも特異な才能を持つボカロP・Treow(とれおぅ)さんと喜多嶋時透(きたじましずか)さんがタッグを組んだサークルです。音大出身のTreowさんと芸大出身の喜多嶋さんのコンビとあって、アルバムの内容はもちろん、ジャケットも毎回他のボカロCDとは逸しています。また、ボカロだけではなくルシュカさん、やなぎなぎさん、F9さんなどニコニコやメジャーで活躍されている歌い手さんを起用しています。

 「趣味で曲を作って人に聴いてほしい」という枠から一歩踏み出して、どうしたらこの音楽を知らない人に聴いてもらえるか、自分たちの音楽を聴いてもらえるか、これからの時代にどう音楽を発信していくかということも考え、様々な挑戦をされていらっしゃいます。

 このCDはその5枚目(REVERSUS+も含める)。今回は八王子P、AVTechNO!さん、millstonesさん、ずどどんPとのコンピアルバムです。相反する感情をテーマに、皆さま作曲をされています。ここで帯文を紹介します。

 ある規則性を持ち、条件によって多様な形に変化する雪の結晶のように、音楽や人もまた“晶質”である--


 個人的に非常に応援しているサークルさんです。それでは参ります
1.エスケープ/八王子P

 始まりに相応しいクールな一曲。
 実は八王子さんの曲をちゃんと聴くのがこれが初めてでした。ポップな曲調で、ボカロを知らない人、エレクトロニカに馴染みのないボカロファンにも聴きやすい作りをされている印象を受けました。
 タイトル通り、逃げ出す主人公が描かれています。歌詞からも、ブックレットからも色は黒。色は白です(文字色で決まっているそうです、失礼しました)。メロディーや歌詞、ルカの声に哀の感情がちりばめられています。激しい変化のある曲ではありませんがドラムパートが小気味良いテンポで進行するので、これを聞きながらドライブすると物凄く疾走感感じますw 
 サビの「ぽぽぽぽぽぽぽっ」と階段状に上がっていく音が好きです。

2.boku-boku./AVTechNO!

 阿部さんことAVTechNO!さんの代表的な曲、boku-boku。HDDが壊れて構築しなおした新生boku-bokuですので、ニコニコで聴いていた人も必聴です。ブックレットの色は黒ですが、文字色が白なので白です。
 低音の利いたドラムンから、お馴染みのシンセ?のメロディー。「目を閉じて・・・穏やかに 落ち着かせて・・・深く深く」のミクの囁くような声は、激しい曲にありながら、本当に心を穏やかにさせて行くようなそんな気持ちになります。
 阿部さんの曲を聞いたことのない人は、後半にこの曲の怒涛のミクの歌声に驚かされるはず(あの消失よりも早いです)。声を使用するというより、音としてミクを使ったとのことです。歌詞を必死に聞きとるということより、このミクと曲全体を一緒に聴いて楽しむとだんだんとテンションが上がっていきます。早口の中でも小休憩が挟まれていて、抑揚もあって面白いです。曲全体に細かい音がたくさん重なっていて、全く飽きません。
 最後は静かに終わっていきます。穏やかに

3.Leucos/Treow

 キューティカの作曲担当であるTreowさん。作詞はTreowさんと以前からElektLyzeというサークルで組んでいる
NaturaLe(なつられ)さん。Leucosはギリシャ語で白。
 シンセとピアノ、アコースティックギター、静かなドラムで始まります。初聴でTreowさんと確信持てなくてちょっと悔しい思いをしましたorz。すごく・・・おしゃれです。
 でもこの方の曲の特徴はドラムンベースです(変拍子的な意味で)。他の方の曲では聴いたことないリズムですので、この方の曲を聴いたことがない人は注意して聴いてみると良いかも(私が聴き足りないだけかもしれない)。
 ミクの歌うメロディーは基本繰り返しのようですが、始めは静かで、歌の終わりに近付くと音の数や速さも上がってきて、ドラムンベースがさく裂する構成になっています。それも微妙に構成も違ってくるので、ぐいぐいと音の世界に引きずり込まれていきます。ルカのコーラスも曲に広がりを持たせていて美しいです。

4.blind/ずどどんP

 このコンピで一番謎の人、ずどどんさん。名前の由来は投稿コメからのようですが、曲の方もずどどんです。天から響いたかと思うと、雨粒のように落ちて、その雨音がひとつひとつ質量をもって落ちて音を立てるような、そんな低音の重たい音が特徴です。この曲はそれがよく表れた曲になっています。曲の色は黒。
 ダッダッ、ダラッタ♪(ちゅーりー♪らりらー♪)のミクの歌声。このダッダッ(キュル)、ダラッタ(ブチュルルルル)♪の()に示した音が個人的に物凄くツボです。ダッダ、ダラッタ、ダラッダ、ダラッタ、の音は曲の全体に使われますが、この配置の仕方もかなりツボです。
 後半静かになる部分があります。そこからよく聴いてほしいです。ここでは始め、ダラッダのみリピートされています。、ミクのコーラスが入り始めると、また音が増えて行きます。そこでダッダ、(ダラッタ)と聴こえてきます。()の部分は小さく聴こえます。そしてちゅーりー♪らりらー♪からダッダ、ダラッタ♪に再び戻っていきます。
 細かい違いなんですが、これによって曲が盛り上がっていくのが良く分かります。本当にここが好きすぎてやばいです。ただのループ音ではない、細かい変化を見つけるのはかなり面白いのでお勧めです。この曲がCDの中で一番のお気に入りです。

5.Program“Avalon”/millstones

 計画都市からブレイクしたボカロPです。ブックレットが黒なので、黒でしょうか(英語訳カモン)?色は白です。
 イントロから飛ばしてきます。ノイズ混じりの重低音が頭をガツンと殴る感じです。音圧が大きくてすごくテンション上がりますw
 ドラムンベース(みるさんのは軽快な音が特徴です)が入ってくるとリズムをとらずにはいられず、ピアノが入ってくると疾走感のなかにも爽やかさ・軽やかさが感じられて、イントロの長さは全く気になりません。むしろこの曲はルカの歌声ではなく、インストと一緒に楽しむのが吉です。みるさんが自作音を織り交ぜた力作で、7分があっという間の疾走感満載です。これは一曲だけでもお腹いっぱいになれます。


6.Melas/Treow

 ギリシャ語で黒(メランコリーの語源にもなっているようです)。歌詞はNaturaLeさん。先ほどの曲と違って漢字や読み方に独特ななつられ節が出てきてwktk。同音異義語のような言葉遊びが歌詞に連なっていて唸らせられます。
 Leucos同様、初めは静かなゆっくりとした曲調(今回かなり実験的な感じ)。ミクの歌声が入って、だんだんと音が増えていきます。歌声が一端止むと、そこからだんだんテンポも上がり、お得意のドラムンベース。エッジの利いたギターもすごく良いです。そしてそのままのテンポで進んでいきます。
 この曲で今までのTreowさんの曲になかったシンセの音があるような気がするのは私だけでしょうか? すごく好みです。早口なミクの歌声も阿部さんに影響を受けたのでしょうか?
 また、合間に入るミクのコーラスも、今までの曲には無い気がします(ちょっと民族調というか)。そのコーラスからBメロにつなげる展開もツボです。Treowさんの曲ではこれが僅かに個人的に勝ってます。

7.boku-boku Ⅱ/AVTechNO!

 boku-bokuの進化系です。ブックレットの色は白ですが歌詞色が黒なので黒です。歌詞はboku-bokuの対比が描かれています。boku-bokuのメロディを導入しながらも、全く違う曲になっています。重低音の利いたギターの音がすごくクールです。エレクトロニカとロックが混ぜ合わさった曲調です。もちろん中盤に早口のメロディーが。ここのドゥンドゥンドゥドゥドゥ、のドラムンベースがかっこいいです。
 曲の展開boku-bokuは似ているのに、聴き比べるとこちらは葛藤が感じられる曲になっていて興味深いです。

8.blank/ずどどんP

 白の歌になっています。歌詞はブックレットがblindと対比して並べてあって、歌詞の内容も真逆になっているのが面白いです。
 曲調はシンセの使い方でoutroを思い出します。こちらはblindと違って静かな曲です。重低音も、どん、どん、と等間隔に静かに落ちてくる感じです。エコーして聴こえるミクの声が神秘的です。終盤に鳴るシンセのぽっぽっぽっぽっという音がお気に入り。あと、「しろしろしろ・・・・・・」と聴こえるのは私の空耳でしょうか。聴き間違えかもしれない。ミクの囁いているような声がオケに混じっているような・・・・・・どうなんでしょう。←やっぱり違うようです。薄い小さなノイズのようです

9.リグレット/八王子P

 最後の曲です。ミクAppendのSweetでしょうか? 物凄く可愛い囁くような歌声です。色は黒です。歌詞もエスケープと対比してあるというか、逃げたい、縛られたくないけれども、誰かとつながりたい、そんな想いが込められているような印象を受けました。
 可愛らしいエレクトロポップで、ピアノの音がとても心地よいです。しっとりと歌い上げる調教にしてあるので、聴いていて癒されます。締めの曲として綺麗に終わっています。


 デザインなどなど

 ケース?は使いやすい仕様になっていて凄く良かったです。折れたり傷がつく事もなくて、いつも綺麗なままで飾れます。ブックレットもきらきらしていて、まさに結晶のように色が変わるのが凄く良かった。中身も黒と白を使われていましたが、白なのに黒を感じさせるデザインでした。ブックレットの色に惑わされましたが、生放送にて、歌詞の色がその曲のテーマとのことでした。してやられましたw 色々計算されているんでしょうね・・・・・・。収録順とは別に曲が並んでいるのも斬新でした。対比させやすいようになっているんですね。

 曲順

 八王子さんのポップで疾走感のある曲で初見さんのハートを掴み、前からwktkしていた人をぐっとひきずり込む一曲目。その疾走感を受け継いで阿部さん、重みの利いたドラムンベースが入ってきます。静かに終わった2曲目を引き継いで静かに始まり徐々に激しさを増すTreowさんの曲。さらに重みと深み、音圧増し増しのずどどんさんの曲。その音圧を引き継ぐようなmillstonesさんの曲(個人的に、millstonesさんを真ん中に持ってきたところにバランスの良さがあると思います)。そして再びTreowさん、エッジを利かせたギターサウンドとエレクトロニカが融合された曲。同じく阿部さんの曲。次にずどどんさんの天から響くような静かな曲。音圧でちょっとくらくらしそうになった時、最後に八王子さん。しっとりとやわらかな曲で、全てが昇華されていくような、ほっとするような感じ。
 八王子さんを最初と最後に持ってきたのは個人的にGJだと思います。最初から重すぎず、最後まで重すぎない、そのバランスの良い曲を八王子さんは持っている気がします(殿は曲の構成的な意味で変態だし他の皆さんも独特な色が濃いし良い意味で)。


 総括

 Treowファンで、キューティカも追っかけてきた管理人にとっては、今回のCDは今までのCDと比べるとインパクトはやや小さめだったように思います(冒険というか、実験的なものが控えめというか)。ですが5人が競い合って作っただけあって、優越つけるのは難しいです。凄く良いコラボだったと思います。
 
 また、このCDはキューティカorボカロPを知る入門編だと思います。このCDに参加したボカロP目当てで買って、他に参加しているボカロPを知らない人にとって、このCDはとてつもなく素晴らしい出会いを演出したのではないでしょうか。
 何しろ5人のボカロPの皆さんが、お互いに良い刺激を受けながら作った曲が収録されていると思うので、ニコニコ等に上げている曲に出逢う以上にインパクトが大きいかと思いますw 
 しかもデザインは商業とそん色ないので普通に持っていてもオシャレで、ボカロを知らない人にも薦めやすいのではないでしょうか(というかボカロという枠で縛るのが勿体ないです)。

 現在とらのあなの通販予約は完売ということで、これから買われる方は通販情報を随時チェックしておくことをお勧めします。冬コミでも何らかの新作が出るようなので・・・・・・そちらも期待しております。



スポンサーサイト

Comment

Comment Form
公開設定

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。